ホームAVION ツアー日記アフリカ中部ルワンダでマウンテンゴリラを訪ねての8日間

アフリカ中部ルワンダでマウンテンゴリラを訪ねての8日間

アフリカ中部ルワンダでマウンテンゴリラを訪ねての8日間

アフリカ中東部へ親戚(人間に最も近い動物・ゴリラ)を訪ねました。16才以上でないとこのトレッキングには参加できませんよ!
旅人:高橋 慎一
写真提供:村上 忠司様

出会いの日

朝7時まぶしい太陽の光に眠い目をこすって起きあがった。窓を開けると都会では見ることのできない空の青い色が一杯に広がっていて、東京では感じる事がない特別な空のような気がした。


そういえば今朝は待ちに待ったマウンテンゴリラとの出会いの日だ。手早く支度を済ませてロビ-に出るとガイドのオマ-ルさんが満面の笑顔をなげかけてきた。「おはよ〜、今朝は8時集合だよ。トレッキングに出掛ける場所までは車でまいります。歩きやすい靴をはいていますよね」ホテルの前には6人乗りの天蓋が開く4WDが待っていた。


ホテルから車でほんの2〜3分でツア-の集合場所に着いた。
ここでゴリラに会う心得を聞いた。毎日56名だけが探索ツア-に参加できること、7班に分けて、グル-プは最大8名までだということ、ゴリラのファミリ-はだいたい12〜3頭からなりたっていること、7mほどの距離までしか接近出来ないこと、出会ったらに大声を出すなどしてはしゃがないこと、くしゃみなどは後ろ向きに出来るだけ小さい音でやること、草花や植物は手折らないことなど10分ほど話が続いた。聞いている内にだんだん心が高揚してきて、まるで恋人にでも会いに行くようにわくわくと落ち着かない気分になってきた。

徒歩で山間に入る

銃を持ったレンジャ-2人と2人のガイドに付き添われて、ここから徒歩で向かうのだ。銃を持っているレンジャ-が付き添うということは危険があるというのだろうか。オマ-ルさんにゴリラと出会える場所はグル-プメンバ-の日頃の行いにかかっていると牽制され、一同顔を見合わせた。ある組は2時間も3時間も山間を彷徨しなければならないこともあると脅かされ、そんなに出会いは難しいのかと次第に不安に包まれてきた。と、にやりとしながら一般的には1〜2時間の間に出会うことが出来るとつけたしたので、足取りが少し軽くなった。



竹林から密林に入る

農家の間を縫って30分ほど歩くとやがて密林に入った。バナナや竹、幹の太い闊葉樹につたのようにからまった木が奔放にのびていて、時折行く手を塞いでいた。アカシアの木だったろうか?


密林の中はアップダウンのある道が続いていた。先頭に立って山刀を持ったガイドが邪魔になる木の枝や足下の草木を削ぎ払って歩きやすいようにしてくれていた。頭を覆うような木々に気を取られていると足下の泥濘にくるぶしまで足を取られてしまう。いつもはこんなに泥んでいないのだそうだが、昨夜降った雨のせいだという。猛獣が現れても大丈夫なように銃を持ったレンジャ-が前後方から目を光らせていてくれるので安心だった。

周到な計画を知らされた


銃を持ったレンジャーと
無計画に密林の山間を歩き廻ってゴリラの群れを探すのではない。密林に入って30分ほど歩いたところでオマ-ルさんが「皆さん心配しなくても大丈夫。絶対ゴリラのファミリ-に会えるから・・・。早朝からトラッカ-と呼ばれるスペシャリストがゴリラのファミリ-を追ってだいたいの居所を無線で知らせてくれてあるのですよ。でも、ゴリラはその場所にいつまでも定着しているのではなくて殊に夜間や早朝は移動するので、このように歩いている間も無線で居場所に誘導してくれているのですよ」と励ますように語りかけた。


こんな密林の山間でも、中継基地やポ-ルがなくても無線は通じるのかな?サファリ-カ-同志が無線で知らせあえる範囲が確か決まっているようだったこともあって、オマ-ルさんが自信満々に話してはくれたけれど、一概に納得できなかった。

見つけた!ゴリラのファミリ-がいた!


ゴリラの糞
子供を抱いたゴリラ
ファミリー

1時間半を過ぎた頃、密林の茂みを指してオマ-ルさんが唇に指を当てた。
道端の草の上に糞がトグロを巻いていた。「ゴリラが近くにいるよ!」しばらく歩くとオマ-ルさんが静かに右手を上げて前方を指さした。
よく見えないがゴリラの黒い体毛が木々の間に見えた様な気がした。さすがスペシャリストだけあって目利きが早い。更に近づいて私たちは身を低くして地面に膝をついた。いる、いる。こちらを向いて1頭のゴリラが茂みに座っていた。さらに目をこらすと、あちらにもこちらにも、木の上にも、木にまとわりついている蔓のような枝にぶらさがって、くるくるまわっている子供のゴリラもいる。ゴリラの群れが今度ははっきりとこの目で見ることが出来た。小さな子供ゴリラがおどけた格好で遊んでいる。母親が抱きしめているのも見えた。その横に多分ボスだろう1頭の雄らしいのが座っていた。やがて雄のゴリラが近づいてきて胸を叩いた。漫画や映画で見たキングコングの所作だ。


皆静まりかえって凝視している。誰かがカメラのシャッタ-を押した。その音に誘われるように夢中になってシャッタ-を切った。ゴリラは驚く様子も見せずに戯れたり、何かを食べたりしていた。


感動でシャッタ-を押す指先が震えている。今まで経験したことのない感動が心の底から沸き上がり全身を揺すっていた。


大げさに表現すれば、道無き道を切り開きながら1時間以上もゴリラを探して歩き、突然森の中の光明にゴリラたちがこちらを向いて座っていたなんて、報いられたというか、達成感で満たされた歓びは本当にかけがえの無いものであった。トレッキングの終わりに渡された証明書を大切に帰路に着いた。ちなみに、この探索トレッキングはUS$500、充分満足出来るものだった。

マウンテンゴリラとロ-ランドゴリラ

オマ-ルさんはゴリラにつて説明を始めた。「ゴリラには2亜種います。昔は1種類と思われていたけれど、今は生息地によって分けられていて、ロ-ランドゴリラはカメル-ンからザイ-ルの熱帯雨林に生息しています。体毛は赤茶系統で顔はどちらかといえば、丸形です。食物は植物の果実や茎、芽などと昆虫なども食べます。一方マウンテンゴリラはウガンダ、コンゴ、タンザニアとの国境にある山間部に生息しています。好んで食べる食物は野生のセロリ、アザミ、竹の子、シダ類で昆虫は食べません。体毛は黒で、顔はやや面長で見ての通りです。簡単に区別が出来ますよね。ゴリラはオラウ-ンタン科のサルで体長は雄で180cm、雌は、100〜150cmと大きく特に上半身が発達しています。成長した(年取った)雄の背の体毛は次第にシルバ-となりシルバ-バックと呼んでいます」とかいつまんで話してくれた。私は木の上で見たゴリラについて小声で質問してみた。「ゴリラは日中も樹上で生活しているのですか?」「いいえ、だいたいは下草のある地上で生活していて、樹上は寝る時だけです。地上2〜3mくらいのところに寝床を作って1頭ずつ寝る習性があります。たまたま木の上で遊んでいる姿だったのでしょう。胸を叩いたドラミングは人間が近づいたぞと警告を出したのです」と答えた

ルワンダという国...緑溢れる、微風と微笑みの国

首都はキガリ、国の総人口は900万人でその89%はフツ族、11%がツチ族で構成されています。フツ族は農耕族、ツチ族は放牧民とされ、放牧民が裕福で貧乏なフツ族との抗争が絶えなかったのです。ことに100万人の大虐殺とされる紛争で国連が介入したことで世界の人々に知られています。



キガリ郊外の町

山や丘、湖が多く、緑の多い国でアフリカのイメ-ジとはほど遠い感じがします。森林は国土の19.5%でユ-カリ、アカシアやアブラヤシ、竹藪などが主木で構成されています。国土は標高1600mにあり、平均気温は25℃という快適な気候のなかで、1996年以降平和を取り戻した国民は穏やかでしかもにこやかで微笑みを絶やしません。「緑溢れる、微風と微笑みの国」が国のキャッチフレ-ズで訪れる人々を誘っています。国立公園は3つあり、アカゲラ国立公園(東側)、ニュングウェ国立公園(西南西側)、ボルカノ-ズ国立公園(北側)です。そこでは多くの種類の動物たちをみることが出来るそうですが、ライオンや豹などはあまり見ることができません。


地下資源はあまり多くはありませんが、錫、タングステン、金、天然ガスなどで、錫とタングステンがこの国の豊かさを助長する産物になっています。


訪れてみるとあまりにも穏やかで、嘗て大虐殺紛争があったとは思えません。
争いは荒廃だけでは何ももたらさない、平和こそが豊かさと繁栄をもたらすと武器を持たずに説得を続けた人々と、それを聞き入れた人々で現在の国があるのだと改めて知りました。

ルワンダへのアプロ-チ

通常はケニアの首都ナイロビから航空機でキガリに入ります。

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