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ロボスレイル(ブルートレイン&南アフリカ)レポート

ロボスレイル(ブルートレイン&南アフリカ)レポート

ロボスレイル名前の由来

1989年に南アフリカと周辺諸国へクラシックな内装で豪華な雰囲気の列車を走らせて、お客様におしゃれを楽しんで頂きながら心豊かな旅を味わって貰えたら良いなと考えた人がいたそうだ。
「ロアン・ボス」という個人が夢に描いていた鉄道会社を現実に設立し、自分の名前、ロアン・ボスを縮め「ロボス」と名付けて走らせたのが「ロボスレイル」なのだ。



ロボスレイル

彼は手始めに1900年代初頭の古い客車を数両手に入れた。そして当時の面影を残すようにしながら内部の化粧直しをして、主に既存の南アフリカ鉄道の線路上を走らせてもらうようにして夢が現実に叶った。
現在運行しているのは、5路線、プレトリア〜ケ−プタウン、ケ−プタウン〜ジョ−ジのガ−デンル−ト、プレトリア〜ビクトリアフォ−ルズ、プレトリア〜マラランとプレトリア〜ダ−バンなどである。
その他季節的に毎年7月には、ケ−プタウンからダ−レスサレムまで13日間中部アフリカ6100kmへの旅を運行し、5月にはナミビアのスワコップムンドへの運行をしている。

プレトリアの専用駅からの旅立ち

ブル−トレンと違ってロボスレイルは専用駅をプレトリアの町の中心から3kmほど北に行ったところにあるキャピタルパ−クに持っている。旧貨物駅の構内だったというが、広い構内に入ると直ぐ人が現れ手荷物やス−ツケ−スを段取り良く受け取り、ラウンジ入口へと案内してくれる。



待合いラウンジ入口

入口では別の係員が椅子に座ってパスポ−トを集めている。
これから乗る路線はスワジランドなどの他の国を通過しダ−バンまで行く2泊3日の行程で、そのスワジランドで途中下車しサファリ−ゲ−ムをするからである。




待合いラウンジ

ラウンジに入ると、飲み物やスコ−ン、サンドイッチなどが奥のテ−ブルに置かれてある。
思い思いに飲み物や食べ物を手にしてソファ−に座る。
ラウンジはブル−トレィンの方が広くゆとりがあって、しかもデラックスだったような気がする。




ロボスレイル

外にはロボスの名前を付けた蒸気機関車がホ−ムで煙をあげている。プラットホ−ム上にはガス灯を模した灯柱が数本たっていてレトロな雰囲気のなかで蒸気にむせている。テラスの隅ではバイオリン・カルテッドが音楽を奏でていて映画の1シ−ンの中にいるようだ。
多分この辺りの雰囲気がブル−トレィンと違って売りになっているところだろう。



いよいよ乗車だ、期待に胸がふくらんだ


ロボスレイルの部屋

やがて車両ごとにお客の名前が呼ばれホステスが車両に案内する。一車両に部屋が三つある。扉を開けると既に荷物が運び込まれてある。二つのベッドがL字形(スタジオ・ツイン)に置かれてあり、これがブル−トレィンは壁にはめ込み式になっていて大きな違いだ。何時でも疲れた時に横になれるようにという配慮なのかも知れない。

しかし入口側のベッドが壁にはめ込み式か何かになっていればリビングがもっと広く見えて居住性が一層良さそうなのにと思った。実際一日過ごしてみるとその実感は強くなった。

もう一つの特徴は、部屋に鍵がない。一寸不安なような気がするが素性の知れた人達の集まりだから大丈夫ということなのだ。




洗面所

部屋は5m×2m、トイレやシャワ−のスペ−スは1.5m×2mでブル−トレィンのスペ−スより可なり広くゆったりしている。シャワ−の入口にゆとりがあり、これで今夜はシャワ−をのびのびと浴られると思った。
室内のデコレ−ションはブル−トレィンとほぼ同じだが、テ−ブルの下に冷蔵庫があり、飲み物が入れられてある。冷蔵庫の下には引き出しがあり、紅茶セットが収納されている。セルフではあるがいちいちスタッフを呼ばなくても良い。クロ−クは大きく、整理棚が六段ほどついている、中に金庫もおいてある。
70cm四方の窓が4つあり、窓もブラインドも手動で上下出来る。ブル−トレィンは大きな一枚窓で解放感あり、景色をワイドに見られて良かったように思う。しかしこちらはこれでレトロな雰囲気があり、人それぞれの好みなのかも知れない。

喫煙者には寛大だ

うたい文句では、喫煙者はあらかじめ喫煙室を予約し、喫煙室の余裕があればOKとのことだったが展望車に行ってみると喫煙者が多いことに驚かされる。
スタッフに聞いてみると、喫煙者が灰皿を頼めばリビングル−ムへ持って来てくれるとのことだった。ようするに食堂やラウンジ以外はすべて自由と思え、やはり観光列車だから、そのへんの配慮をしているのかなという印象が強い。

ラウンジと展望車や食堂車


ラウンジ

ラウンジはボックスになっていて26席分があり、貸出しの書庫が置かれてある。書庫の前にあるカウンタ−は食事時には売店に早変わりする。
 食事時になると、いやが応でもその前を通って食堂に行かねばならない。見てみると商品は雑然と置かれていてよほどでないと購買意欲がわいてこない。
 ブル−トレィンの場合は、売店はちゃんと一室あり、通路に面しているショウウインドウに商品が綺麗に並べてあった。店は常時オ−プンしていて美人の売り子の人気があり、いつも混んでいて売り上げも上々のようだった。




展望車

展望車は喫煙者用にか、最後部の扉の外にオ−プンエア−の四人ばかり座れる場所がつくられてある。
展望車の中は、対面にソファ−が置かれ歓談しながら景色を楽しむようになっている。隣に座った初老の四人組声をかけてみた。「どこからこられたのですか?」「ケ−プタウンからなのですよ、先代がイギリス人でね、ケ−プにやって来て事業をおこしたのですよ。私の息子夫婦がヨハネスブルグに住んでいて、家内の誕生日のお祝いに息子達がこのダ−バン行きのロボスレイルの旅をプレゼントしてくれたのですよ。一度は乗ってみたいと夢に描いていたのでとても嬉しく思っています」「それは素晴らしいですね、でも何故ロボスを選んだのでしょう?」「ロボスの旅は他に較べるものがないと息子が薦めてくれたのですよ」「それで貴方はなんで?」「私は今年で70歳になったのですが、旅行会社をやっていて今回ロボスが日本マ−ケットに強力に営業を展開して欲しいと招待してくれたので、体験しにきたのです」「え、70歳?私は1933年生まれですよ、同年代ですね」と改めて握手を交わした。ブル− トレィンでの時と同じくやはりこれらの「列車の旅」はこちらの人といえども高嶺の花で楽しみにしている旅の一つなのだ。




食堂

夜ともなれば食堂車は着飾った女性を連れた紳士達で一杯になる。
ここでは一回の食事時間で全員にサ−ビスするようになっている。
48席の座席で間に合うということは、乗車人員が48名以内にしてあるということなのだ。




車内食事

招待してくれた、ロボス レイルの販売部長ミスタ−ノエルが同行しているので話を聞いてみた。「この列車はプライド オブ アフリカと云って乗車人員は定員72名、25名以上で運行出来るのですよ。
従ってチャタ−でも25名以上いればいくらでも引き受けますよ」と云う。「人員が少ない時は車両を間引きするのですか?」「そうなんです、ブル− トレィンと違って連結で増減できるのです」と話してくれた。
食事は両者甲乙つけがたく美味しく楽しめた。

スゴイゾ!犀やキリン・象が一杯だ

この運行行程ではサファリ−ゲ−ムが2回組まれている。昨夜の12時ころ列車は停車したままだった。ロボスのお客様への配慮だ。お客様にゆっくり睡眠をとってもらおうというので夜中に停車するのが基本となっている。お陰で寝覚めが快適だ。
 5時にドアが叩かれ、飛び起きた。身支度をして外にでると、四駆のサファリ−カ−が待っていて20人ほどの乗客が別れ別れに乗っている。

スワジランドのムカヤリザ−ブ


動物保護区

ここはスワジランドのムカヤというところだ。多分ムカヤ ゲ−ムリザ−ブ(動物保護区)へ向かうのだろう。ムカヤの特徴は黒犀、白犀、象、バッファロ−が主として住んでいるそうだ。車を走らせて行くと路を塞ぐようにクドゥ−が現れた、昨年からもう6回目のサファリ−だから動物の顔をかなり覚えている。間もなく犀が現れる、顎が平らになっている白犀だ。ブッシュにいた犀二頭が子供を連れて路に出てきた。大人の犀同士が角で押し合いを始めた。喧嘩でもしているのかとレンジャ−に聞くと「あれは喧嘩じゃあ無いよ、結構親愛を表すじゃれ合いなんだよ」と云う。サビ・サビの時と違って車は路からは外れてブッシュには入らない。しばらく行くとキリンが一頭木陰に見えた。

レンジャ−は「つがいで居るはずだから近くにもう一頭いますよ、探して見てご覧」と云う。目をこらして見ると近くの木の間に、ちゃんといるではないか。「ほ−らね」とレンジャ−の目が得意げに輝いた。色があまり鮮やかでなく、黒っぽいのは季節が関係しているのであろうか、聞き忘れてしまった。象の群がボツワナのチョベで見たより大きな群れだ。やがてバッファロ−の群れがこちらの様子を伺っているようにこちらに顔を向けて座っている。「メスや子供を守るようにオスが皆を囲むようにしているのが習性ですよ」「見てご覧なさい、子供は母親のお乳を股の間、後ろから飲んでいるのですよ。しかも母親が歩きだしてもお乳を離さないで飲みながら母親について行くのです」と教えてくれる。なるほど母親が移動してもお乳を離さない、器用なものだ。ニャラとかインパラ(子鹿の種類)の群れはやはりどこでも多い。

皆は縞馬やライオン、豹が見たいねと口々に言い合う。何しろ初めてサファリ−ゲ−ムを体験しているから望みはたくさんだ。終わり頃縞馬を見ることができた。ライオンや豹、チ−タは見ることが出来なかったが結構満足出来るゲ−ムだった。


サイ

ムカヤ リザ−ブの中心にスト−ンキャンプがある、藁葺きの屋根のある柱だけの建物が三つばかり見える。篝火を焚いている。今晩の夕食はここである。 バ−ベキュ−の夕食だ、最初にス−プが出た。美味しいのでお代わりをする。
なかなか雰囲気があって良い、若い人達ならカップルで楽しいだろうな。隣にドイツから来た夫婦が座った、やはり旅行業を奥さんが営んでいるそうだ。古女房では話がはずまないのか近くに座った私の仲間に盛んに話しかけてくる。
食事が終わって遅くなったがロボスに帰り着く。行き路は遠く、帰り道は近いと云うがなかなか帰り着かなかった。

シュルシュル−エ ゲ−ムリザ−ブ

翌日の午後3時、もう一回のサファリ−はシュルシュル−エにあるウンフォロ−ジ動物保護区でおこなった。ここはかつてズル−族の狩猟地区であったところだが110年位前に動物保護区になったところである。山岳地帯でライオンやチ−タ、豹、一番小さい鹿類のダイカ−やオリビ−、サマンゴモンキ−(白いお面をかぶっているような猿)、マング−ス類が多いと云う。今日は一寸天気が悪いので天蓋のない車では肌寒い。動物との出会いはインパラ類を除いてはなかなか無い。天気が悪く雨がたくさん降ると動物達にはなかなか出会うことは難しい。懸命に車を走らせると目の前を何かが横切った。マング−スだ。暫く行くと道端の木の小枝がゆれている。見るとサマンゴモンキ−が可愛い顔を見せている、しかし一匹だけである。結局ビッグファイブと云われる動物の中で見られたのは、犀、バッファロ−、象だけであった。「ライオンやチ−タ等はもう少し時間をかけて違う山に行かなければ、それにはあそこにあるヒルトップ ロッジに止まらなくては駄目ですよ」とレンジャ−が弁解がましく話してくれた。

エピロ−グ

2泊3日の「ロボスの旅」は終わった。カップルだったらきっともっと楽しいだろうな。このコ−スは、サファリゲ−ムを楽しみながら南部アフリカのモザンビ−ク、スワジランドや南アフリカを短時間でかい間見るにはなかなか良い旅だと思う。今回訪れたのは3月、丁度雨期にかかり、しかも今年はすごい雨が月の初めに降ったそうだ。
雨が降ると森や林、サバンナに水溜まりがあちらこちらに出来て、動物達は日頃の水飲み場や水浴び場にやってこない。雨期を計算に入れて旅を計画すればたくさんの動物達にも会える。又、蛇足ながらライオンを見たいならボツアナのチョベのゲ−ムサファリ−を計画に入れたら良いかも知れない

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