ホームAVION ツアー日記エレファント・バレー(ボツワナ共和国)レポート

エレファント・バレー(ボツワナ共和国)レポート

エレファント・バレー(ボツワナ共和国)レポート

沼に集まる象の群れ


象の群れ
ロッジの前にある沼に集まる象

象の大群が沼地で遊んでいた。象の群は数えてみると30頭、可愛いい子供象が何頭もいる。もうじき陽が暮れようとしている。


だいたい象は母親を中心として15〜30頭の群をつくると聞いていたが、そうだとすると最大の群れである。


象は一日2〜3時間の睡眠を除いて、平均200kgを食べる食事の時間に全てを費やしているのだそうだがその間に水分補給の水遊びも入っている。その水遊びが眼前に展開しているのだ。親象が沼に入ると子象が真似をして、ユーモラスな格好で続き鼻一杯に吸い込んだ水を飛ばしていた。


オスの象は群れの中に見あたらない、レンジャーに聞いてみると、繁殖期を除いてだいたい群れから離れて過ごしているのだそうだ。


私たちはロッジのテラスで椅子に座り、前方に織りなす野外ショウをただただ見入るだけだった。


象の群の後には

象の群が小一時間ほどで引き上げて行くと、後を追うようにバブーン(ひひ)の群れがやってきた。バブーンにもリーダーがいる。何匹で家族かなりたっているか知らないけれど、それぞれのグループには子供のバブーンがいてちょこちょこ走ったり、親の背中に飛び乗ったりしながら水辺にやって来る。聞いてみると「普通は30頭くらいなのだそうだが、100頭に膨れあがることもある」そうだ。「えぇっ?30頭。象も30頭って聞いたよね。動物たちの集団は30頭くらいが、ひとつの基準なのかな?」かれらの水分補給と水浴びが終わると、今度はインパラだ。だいたい南部アフリカ地域一帯に、一番多く生息しているのがこの鹿科のインパラなのだが、数えられないくらいのおびただしい群れでやってくる。


先頭には、耳を立て様子を伺いながら、慎重に引率しているリーダーがいる。見通しの良い低木が多い地域に現れるが、彼らの飲み水は清水ではなくて澱んだ水を好むのだそうだ。どうして清水を嫌うのだろう、この沼にやってくる理由が分かった。
するとその様子を眺めている小さな鹿が、群れのはずれにいるのが見えた。オルビーという小さな鹿科の動物だ。ブッシュに40〜50cmの姿が見え隠れする。行動は、ほんの数頭で、群れをなさないのだそうだ。
私たちは、可愛い姿をデジカメに素早く収めようとしたが、気配を察して飛び跳ねるように素早くブッシュに姿を消してしまった。


テラスに座っているだけでこのように飽きることはないドラマがある。鳴き声もない静かな秩序ある自然のドラマだ。交代の幕間には、小鳥たちの囀りが間奏曲を奏でていて自然の巧みに感動してしまう。

夜がやってきた

星が夜空を埋め尽くし始め、夜中近くになると南の方角に南十字星が現れる。「南十字星を初めて見た」と夜空を見上げる人がいた。廻りにはお酒を飲みながら、唯静かに黙って静寂を楽しんでいる人たちの影がある。地上を見ると闇に光るものが点在している。動物たちの目が星のように光を放っているのだ。それぞれのテント・ロッジまでは道程がある。テントまでの道沿いには灯りがともされていて、足下の不安を除いてくれている。「お休みなさい」「グンナイト」別れ別れにそれぞれのテントに消えた。


大型動物たちがテントを襲わないように、1000ボルトの電流を通した強固なフェンスがこのロッジ村広く張り巡らされてある。そのうえレンジャ-たちの不寝番がテントの間を廻り、万が一に備えている。もし万が一の場合、吹いてくれと、あらかじめ笛が渡されている。今までそういった緊急事態は一件も起きていないというから安心だ。

夜明けと動物たちの鳴き声

うつらうつらしていると動物たちの鳴き声が聞こえてきた。「グォー」「キユゥー」象の鳴き声が一番大きい。象同志の合図なのか、危険信号なのかは分からない。明け方近いのだろうか?時計を見ると2時半を廻っていた。又暫くまどろんでいたようで、小鳥たちの囀りとともに動物たちのお喋りの声がテント間近で聞こえて目が覚めた。「ウゥ〜・・ウォ〜」鳴き声を真似てレンジャーに種類を聞くとハイエナだと教えてくれた。確かテントの近くで聞こえたようだったが・・。



テント・ロッジから見た朝陽

ジッパーを開けて外に出ると、ちょうど朝日が正面の木立の間から昇ってくるところだった。


ロッジのテラスにある椅子に座って、次第に茜色に染まる景色を眺めていると、又親象に導かれた大群が沼を目指してやってきた。鼻を上げ下げしながら合図を送っているような先達の後に、整然と隊列を組んで続いてくる。よく見ると2つの集団らしく別方向からもやって来て合流している。先達と最後尾を守る親象の間に、子象が鼻を左右にぶらぶらさせながら小走りに付いてきている。これから昨日と同じ動物たちのショウが繰り広げられるのだ。


のんびりとした時の移ろいのなかに身を置いていると、忙しない都会生活を忘れさてくれ、心の奥底まで清風が吹き込むように思えてくる。ラジオもテレビも新聞もない、風通しのよい静かな環境で過ごす数日は新たな息吹を与えてくれる。

ゲーム・ドライブ(サファリ)


ライオン
シマウマ

私たちの一日の活動と言えば、ランド・ローバー(オープン・カー)に乗って動物たちを探しに行くことだけだ。二日に亘って、午前、夕刻とチョベ国立公園の中を縦横に走り回った。レンジャーは車がすれ違うたびにお互いの情報を交換しながら、私たちの喜びそうな動物たちを追ってくれた。
お陰で、キリン、ライオン、象、バッファロー、カバ、シマウマ、イボイノシシ、クドゥー、スプリングボック、ブッシュバック、ウォーターバック、オリックス、インパラ、バブーン、食蟻獣、マングースなどたくさんの動物たちに出会うことができた。


自然のなかでのびのびと群棲している動物たちを、あるいは何を目指しているのか、何に追われているのか猛烈な勢いで走っている動物たちの群れにぶつかると、私たちは、一様に歓声をあげる。「すごーい、こんなに近くに見えるの?」「これが見たかったのよね!満足だわ〜」アドレナリンとドーパミンが一斉に吹き出したような私たちのわくわく感を動物たちは盛り上げてくれた。

この選んだ場所は何処に?

ワイルドな癒しの場所を、ボツワナの北東部にあるエレファント・バレーに決め、訪れたのは8月末のことだった。ボツワナのこの地は、雨期がとうに終わり草木が春の訪れを告げたばかりだったが、緑が失せ、日照り続きで半乾燥地帯になっていた。


陸路でジンバブエのヴィクトリアフォールズ空港から車を走らせて、ボツワナに入った。すぐに、ジンバブエ沿の林道に入り、アカシアの林を抜けるとそこはサバンナ地帯だった。暫く走ると下り坂となりテント・ロッジの屋根が見え始めた。ここがエレファント・バレーだ!

テント・ロッジってどんなロッジ?

オカバンゴのロッジに似た主棟の前に車が着いた。主棟には売店とレセプションしかない。バーとダイニングルームは後背部にある別棟になっていた。車を降りて吹き抜けになっている建物の中に入ると、涼風が頬をなでた。テント・ロッジは20棟ほどあって、全部で40人ほど収容できるという。ドイツ人やイギリス人の先客がちょうど2台の車に分乗し、ゲーム・ドライブに出掛けるところだった。先客が15〜6人いるということだ。
バーはテラス状になっていて、サバンナにある沼に面していた。階段を降りて沼に向かって行くと、バードウォッチングという表札がある小屋が建っていた。



テント・ロッジ外観

テント・ロッジって一体どんなロッジかと思っていたが、木陰に作られたウッドデッキ(木の床)の上に柱が立てられ、テントが二重に張られてあった。


昼間は、正面や側面の外側のテントが広く開けられ、網状になっている内側のテントが露出する。これで風通しがよくなるようになっている。屋根や後背部、側面の一部は二重テントのままではあるが、野性味たっぷりである。

中は結構良いじゃないの!


テント・ロッジ内観
出入り口

中は外観に似ず、清潔そうなツイン・ベッドと文机、洋服掛けやセーフティボックスがおかれてあった。もちろん扇風機も荷物置も配されてある。中にはもう一部屋があって、その間に仕切りが設えてある。ここも表の出入り口同様、二重テントが壁代わりになっていた。


出入りには真ん中にあるジッパーを上げ下げするのだ。部屋の中にはシャワーと洗面台、水洗式トイレが配されていて6帖くらいのスペースがある。さしずめワンルームにバスルーム付きとでもいうのだろうか。4つ星のホテル並で快適そうに見えた。
もしテントで覆われていなければ普通のシャレーと変わりない。ベッドの上に仰向けに寝た。なかなか快適でやや柔らかな感触が、廻りの静けさと共に優しく身体を包んだ。


メイン・ロッジとテント・ロッジを挟んだ広い庭には、プールがあって子供達が水遊びに夢中だった。プールを緑の芝生が囲み、スプリンクラーがのんびりと弧を描きながら放水していた。

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