オーロラ帯に浮かぶ緑と氷と火の不思議な島アイスランドの旅
撮影・文:深田様
9月23日夜
夜8時過ぎにオーロラ探索ツアーの大型バスに乗り、レイキャビーク市より東約20kmの地点にゆく。
まだ西の空は夕焼けの名残が残っている状態で、右手は半月が邪魔。前方下部には左右一直線に道路が延びており頻繁に車が通る。こんな条件でオーロラがみられるのか皆半信半疑。
北の山の稜線に沿って雲のようなものをねらって20秒間の長時間露光をすると、色は緑白色になるのだが、写真判定をしなければならないオーロラなんて。と、皆納得のいかない顔。このまま待っても肉眼で確認できるような変化は起こらず、腑に落ちない面持ちでホテルに戻ったのが11時。
アイスランドのような高緯度のところでは太陽の活動が十分ならばオーロラの出現する確率は高いので、バスを止めておける暗い場所を幾つか候補地に選んでおけば、晴れた夜に、「必ず見えるとは限らない」という断りを入れて「オーロラ探索バス」に客をつめこんで走らせ、好条件に恵まれて肉眼で、はっきり見ることが出来れば万々歳だし、肉眼では、はっきりしなくても、長時間露光で着色した雲か霧のようなものが見えて、「これがオーロラだ」と言いくるめられれば、経験の浅い観光客は、反論も出来ず何となく腑に落ちないまま帰ることになる。いつも万々歳なのは観光バス業者だけである。
以上が「オーロラツアー」第一夜の結果である。
9月24日夜
この、何となく不満足な空気の中で登場したのが、コンダクター、サタケタロウ君。彼自身も不完全燃焼で気分が悪く、次の夜、大型バスに頼らずに再挑戦することを我々に約束した。オーロラに詳しい運転手付きのマイクロバスか、タクシーを探すのかなと思っていたのが、ナンと、24日夜10時、再挑戦の希望者8名がマイクロバスに乗り込むと、残った席は運転席のみ。初めての国で、しかも出来るだけ暗い場所を探して車を走らせる快挙というか、暴挙というか。(この日の昼間、レンタカーを借りる手配をし、街の周辺の適地についての情報を集め、下見をしてきたという)。
前夜のような灯りに邪魔されず絶好の待機場所と思ったがオーロラは現れず、途中で1回場所を変えて翌午前1時近くまで、2時間半以上粘ったが、結局撤収することにし、エンジンをかけたところ、北の空に白い雲のようなものが大きさを増減させるのが見えた。しかしカメラを設定する時間を待たずに薄れてしまったため記録には残せなかったが、前夜とは違って確かにオーロラであるとの印象を持った。
街近くまで戻ってくると、写真で見たことのある大きなカーテンが出現。急遽駐車の適地を探し、写真撮影。今度は確かにオーロラと確認できるものを記録に留めることができた。最初に用意した真っ暗な観察地点に比べるとオーロラの観察には最も適さない、灯火が眼に飛び込む場所だったが、イメージしていたカーテンを見ることが出来た。見えるときには見えるものだといった感じ。
9月26日-27日 アイスランド航空の機上にて
夜中(?)に「オーロラが見える」と呼びに来てくれた。左側の窓から覗かせてもらうと、桁違いに大きな、明るいオーロラが見えた。地上では三脚を据え、20秒かけて撮影したのに、機上ではカメラを窓に押しつけて1秒のシャッターで撮れる。もちろん手持ちだから多少のぶれもあり、感度を目いっぱい上げてとったので画質は荒れ放題だが、旅行の最後を締めくくるのにふさわしいオーロラだった。前日の昼、吹雪のため、むなしく引き返してきたオプショナルツアー参加の人たちを慰めるかのようにおもわれた。