"おひさま"に向かって
初秋とはいえ、汗ばむような陽気のなか、バスを"おひさま"のロケ地となっている"大王わさび農園"に向けて走らせた。昼食の手配はせずに、大雨で寸断されていた中央道の渋滞具合を見て、途中のサービスエリアで食べて頂くことにした。
1時頃、諏訪湖サービスエリアに到着した。ここのおそばが美味しいとあったので四人掛けのテーブル四つ、レストランの係の方と相談して急いで場所取りをした。皆様に思い思いのメニューを選んで頂き、遅目の昼食を食べて頂いた。諏訪湖の湖面に太陽の光が踊っていた。景色も味も満足して頂けたようであった。
大王わさび農園
3時頃、目的地"大王わさび農園"に着いた。やはり朝のNHK連続ドラマ"おひさま"のせいで多くの人でごった返していた。
車を下りて、ドラマに使われた水車小屋やお蕎麦屋さんの火事の後、若夫婦が中心になって店を出すことになった、とんがり帽子の屋根をした廃屋を見に出掛けた。入り口から少し歩いた所に道祖神が並んでいた。
蓼川の清流の畔に水車小屋が2つ、さらさら水音を立てながら回っていた。頭を清流に垂らし所々並木のように連なっている柳と、水車は一幅の絵になっていた。水車をバックに皆の記念撮影をした。流れの早い小川に二隻のゴムボートが浮かんでいたが、突然騒がしくなって一本の木をガイド役の船頭さんが指して何か叫んだ。見ると、水車の手前に立っていた柳の幹に青大将がくねくねと登って行くのが見えた。
わさび田
わさび田は未だ黒い寒冷紗で覆われていた。だいたい白い花が咲き終わる4月頃から9月一杯まで覆い、1日12万トンの流れる湧水とで平均温度12℃を保つようにしているという。わさびは年中収穫されるが、収穫時期は苗を植えてから12ケ月経ってからだという。どうりで収穫後の畝に苗が植えられていたし、大きなわさびが育っている畝もあった。ここで採れるわさびの量は年間150トンもあるので、おいしさと併せて有名なのである。私たちは名物"わさびソフトクリーム"を味わってみた。
穂高ビューホテル
今晩の宿は穂高ビューホテルだ。常念岳の麓にあるホテルは、から松や銀杏の木立に囲まれた静かなリゾートホテルである。入口を入ると、一段下がったところに吹き抜けのロビーがあって、大きな窓の向こうに夕日を浴びた緑の芝生とから松の林が見えていた。このホテルにはかけ流しの天然温泉がある。アルカリ性単純温泉の湯は美人湯としても知られているし、肩、膝、腰痛などにも良い。
ロビーには結構沢山の人がいたのに、温泉に行ってみると僅か3人しか入っていなかった。どうやら温泉に入る風習が違う中国や韓国の人たちだったようだ。広々とした、程よい温度の湯にのんびりと浸かって疲れを癒した。
ベッドはセミダブル。都会のホテルとは違ってゆとりのある部屋だった。窓には森の自然が拡がっていた。何よりも良かったのは、寝ていても暑くなく、他のホテルや旅館にありがちな暑くて寝苦しいというような空調ではない。
掛け布団は睡眠にすっかりなじんでいた。
翌日はできるだけゆっくりした時間を味わって頂きたいと思い、出発は10時頃だ。外に出ると銀杏の葉が黄色く色付き、朝の陽光を浴びて美しく秋を知らせている。から松林の林間を歩くとホテルが世話をしているという岩魚の池にぶつかった。ゆっくりとした朝の一時を思い思いに過ごすことが出来たようだ。
10時ころ快晴に恵まれた中、白い花が一面に咲いているそば畑を、車窓から見ながら岩崎ちひろ美術館に向かった。