ホームAVION ツアー日記マサイマラとンゴロンゴロレポート

マサイマラとンゴロンゴロレポート

マサイマラとンゴロンゴロレポート

旅人:高城 英雄

赤道は何処を走っているの?

 ケニア、タンザニアなど国名は知っていてもその在処を知っている人は少ない。ましてや赤道が、アフリカのどの辺りを通過しているかとなるともっと分からなくなる。
 野生の天国であるマサイマラやセレンゲティ、ンゴロンゴロ、ペリカンやフラミンゴの多いマニャラ湖などとなるとその在処はほとんど分からないだろう。南部アフリカのクル-ガ-やボツワナのチョベ、オカバンゴなどでのサファリを過去3年にわたって経験してきたが、野生の天国と聞いて、マサイマラやンゴロンゴロをどうしても訪れてみたくなった。
 地図を広げて見ると赤道はケニアの首都ナイロビの北、200kmほどのところで地球を二分している。今度の旅は南緯1°20分から40分のあたりを旅することになるのである。赤道直下に近い国は一体どんな天候や季節であろうか、インタ-ネットを通じて情報はたくさんあっても、今年は世界的に天候不順なので訪れてみないと実際には分からないだろうと不安が募った。



野生の天国マサイマラへの道

 実際には、ドバイ迄約10時間、乗り換えてナイロビへ5時間、更にナイロビからサファリリンク社の14人乗りセスナで1時間、荒涼としたサバンナの一角にあるセレナストリープ(滑走路)に降り立つ。(乗換えの為の待ち時間は除いている)滑走路脇に出迎えていたサファリカ-でマラセレナロッジへ15分ばかりで到着した。

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ストリープに降りた小型機

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お客を待つレンジャー



マサイマラのマラセレナロッジ

 中央棟を中心にして、2戸建て、焦げ茶色のコテ-ジがキノコのような姿で左右に重なるようにして並んでいた。  ロッジは小山の上に立っているので、眼下に広がっているサバンナはどこまでも広く雄大で、そのサバンナを切り裂くようにしてマラ川が蛇行して流れている。川の畔には、オアシスのように生い茂っている緑濃い木々の光景が、清々しく感じられた。
 何人かの欧米人がプ-ルの傍らでのんびりと日光浴をしていた。聞けば1週間の長期滞在だという。子供達は喜々とした声を張り上げながらプ-ルで泳いだり、赤茶色と緑色した綺麗な40cmくらいの大トカゲを追って遊んでいた。

 部屋には大きなバスル-ムと広々としたリビングがあり、どの部屋にもサバンナに向かって大きな窓が広がっていた。豪華な佇まいでいっぺんに気に入った。
 眼前に広がるサバンナには太陽の暖かい光を浴びながら、ヌ-やインパラ、バッファロ-の大群がのんびりと早春の草を食べている光景は印象派の淡い絵のようだった。目を丘の裾に転じると1頭のキリンがまるで銅像のようにポ-ズを変えずに立っていた。いつ見ても同じところに何時間でも立っていて不思議だった。そんな光景に浸っていると自分自身がその自然の中にいつの間にか溶け込んでいて、今着いたばかりだと云うのにまるで昔からここに座っているような錯覚に陥っていた。

マサイマラ・ロッジ

マサイマラ・ロッジ

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三色オオトカゲ

広大なマサイマラ

広大なマサイマラ

  サバンナに落ちる夕日

サバンナに落ちる夕日



チ-タとハイエナの戦い

 夕刻、ゲ-ムドライブに出発した。なだらかな坂道を下ってゆくとマラ川を挟んで当たり前のようにヌ-(ワイルドビ-スト)やバッファロ-が群れをなしている。ロッジから見えたキリンはいつの間にか姿を消していた。  突然ドライバ-のジョセフが前方4時の方向を指さした。「チ-タだ!」見ると30mほど先の黄金色した草むらに、3匹のチ-タが獲物を引き倒してからかってでもいるように見えた。「乾期になると、出産を終えた母親が大概4匹の子供達を連れて、ハンティングを教えている光景に出くわすことが多いんだ。成獣のチ-タは1m足らずの大きさで、足が長く、走るのに瞬発力があって時速115kmくらいでそのスピ-ドを300mも持続出来るんだ。彼らは一日だいたい3kgくらいの肉を食べる習性なんだよ」静かな口調で教えてくれた。枯れ草の黄色い色とチ-タの体毛が混然としていて、目を凝らさないととても見分けがつかない。
 よく見るとチ-タの子供が、ガゼルらしい獲物の横に添い寝でもするような仕草を見せている。突然その獲物が立ち上がって数歩逃げるようにして走った。「ガゼルだ!可哀想」車の女性達が叫んだ。母親チ-タが追いかけて再び草むらに倒した。その時、遠くからハイエナが小走りに近寄ってくるのが見えた、1頭、2頭、3頭・・。
 「ハイエナって奴は夜行性なんだけれど、このように昼間現れることもあるんだよ。あいつらは鼻がよく利くし、遠くから血の臭いを嗅ぎつけてやって来るんだ。しかも1頭じゃあないんだよ。あっちからもこっちからも来ているだろう」チ-タと獲物を取り囲むように数匹のハイエナが四方から急ぎ足で近づいてきた。
 チ-タは顔を上げ、腰を落として身構えている。ハイエナがチ-タに向かって疾走してきた。チ-タが歯をむき出して立ち向かおうとしていたが、2頭にからまれると1~2回の咬合の仕草であえなく後退してしまった。子供達は母親より先に一目散に逃げ去っていた。ハイエナは獲物を横取りして食べ始め、食べ残しをくわえてゆうゆうと草原に消えて行った。ほんの僅かな時間であった。
 「チ-タは一口も食べていなかったみたいよ、可哀想!」スマートなチータに同情して女性達は口々に嘆いていた。もしかしたらイケメンが、ならず者に絡まれている姿を頭に描いていたのかも知れない。最初からこの様子を空から見ていたハゲワシは、ハイエナたちが食べ散らかした残飯でもあるのだろうか、舞い降りてきた4~5羽が群がって地面を突ついていた。
 チ-タは豹に似ているが他の大きな肉食獣と戦うことはほとんど無く、草むらや樹上などに素早く逃げてしまうのだそうだ。

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サバンナを歩くチータ

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斑点ハイエナ



ヌ-(ワイルドビ-スト)の川渡り

 「ヌ-の河渡りが見たい!」8月後半、いろいろな情報では大丈夫、見ることができる時期だと聞いたのでマサイマラを選んで訪れた。
 到着翌日にはバル-ンに乗って、上空からマサイマラの全貌を見ることにした。広いサバンナに米粒ほどに見えた黒い点は、近づくにつれて総てヌ-、ヌ-で数えることもできないほどだった。「一体どれくらいいるのだろう」誰かが聞いた。バル-ンを操縦していたジェイピ-が「マサイマラには150万頭も集まって来るんだよ、今見えているのは4~5万頭くらいかな」と教えていた。
 一つの動物保護区が国境で二分され、タンザニアのセレンゲティとケニアのマサイマラに別れている。いわゆる「ヌ-の川渡り」は、その国境に流れているマラ川やサンドリバ-を、雨期明けに生え出る、好物の若草の芽を追って乾期となった方から、移動する光景のことを指している。川渡りの際、川に潜むワニや草むらで待っているライオンやカリオンなどに襲われるが、若干の仲間の死を悼むこともなく、目を剥き血走らせて、必死に走る群れの姿が見物に来る人たちを引きつけているのだ。

気球にガスの注入中

気球にガスの注入中

  飛び始める気球

飛び始める気球

草原のインスタント朝食堂

草原のインスタント朝食堂

 


ヌ-たちの迫真の動き

 夕刻、車を走らせてマラ川の畔に行くと、そこには7~8台のサファリカ-が既に集まっていて「川渡り」の幕開けを今か今かと固唾をのんで待っていた。
 ジョセフが「今日は絶対見られるよ!ほらヌ-たちの群れがかたまってきただろう、今に走り出すよ」あのストレンジオジサンと同じことを言った。やがてヌ-たちが百頭くらいに固まったと思ったら一角が崩れ、先頭のヌ-が河岸を目指して猛烈な勢いで走り出した。「いよいよだ!」皆が身構えた。
 ヌ-の先頭が河岸に到着したと思ったら急ブレ-キで立ち止まった。盛んに首を上げ下げして川面までの高さを計っているように見えた。「そのままの勢いで飛び込めばいいのに!」「あそこの近くにいるワニでも眺めているのかしら」誰かが川面を指さしながら口々に呟いた。先頭のヌ-は同じ動作を繰り返していたが、急に踵をかえして走り出した。群れはそれに続いた。「ちぇっ!気だけ持たせて・・・」皆が溜息をついた。
 ヌ-には確かなリ-ダ-はいないと聞いていたような気がしたが、実際はリ-ダ-が群れを見事にコントロ-ルしている。

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川を前にしたヌーの群

 


ライオンはゴロゴロいる

 「マサイマラやンゴロンゴロに行けばライオンなんてごろごろしている」と聞いていた。実際車を走らせていると、いるいる。あちらでも車の走る道端近くでも悠然と寝ころんでいる。「ライオンはお腹が一杯だったら静かに寝ているよ、時々目を覚まして四方を眺め回してもまた横になるよ。車が脇にいても一向に気にしていないね。毎日たくさんのサファリカ-が来るから、自分たちの仲間くらいにしか思っていないのさ」ジョセフが車を止めて話しかけた。
 クル-ガ-ではライオンの姿を見つけたら、口に手をやってレンジャ-が静かに動いては駄目と合図したし、チョベでは5m以上の間隔を開けて車を必ず止めていた。
 百獣の王だけあって恐れる物がなにも無いからだろうか。不思議、出合うのはだいたい2頭のライオンで雌ばかりが多く目についた。
 1昨年チョベでは、12頭ぐらいのプライド(群れ)を見たのだが、ここでは群れに出合わなかった。「プライドはいないの?」と聞いてみると「6頭くらいのプライドを何回もみたよ」とジョセフは返事した。

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ライオンの昼寝

  昼寝から目覚めたメスライオン

昼寝から目覚めたメスライオン



ンゴロンゴロへの移動

 セレンゲティやンゴロンゴロへの、中継地アリュ-シャからの道は、アスファルトの平坦な道だ。車は速度80kmを遵守していて安全運転だった。
 町外れのコーヒー畑を抜けると、タンザニア国防軍の一際、真新しい住宅群が見えて来た。国防に専念させる為に、庶民より良い住宅環境や、兵舎環境を与えているそうだ。
 マクユニ村からンゴロンゴロの外輪山(リフトバレ-)までは、緩やかな上り下りのある快適な道路だ。日本の鴻池が造った道だそうで、しっかりした良い道が続いていた。リフトバレ-の北にロルマラシン山(3290m)が壁のようにそそり立っていた。その辺りから道はジグザグになり上って行く。沿道にはところどころにマサイの村があり、道端にマサイア-トを飾って、旅人を呼んでいた。左側の下方には、マニャラ湖の大きな姿が見え隠れしていた。

ンゴロンゴロ

ンゴロンゴロ

 


ンゴロンゴロ ソパロッジ

 ソパロッジは、クレーターロッジの反対側に当たるリムの上にあった。クレ-タ-に下りて行くゲ-トには、門限があって19時までにはホテルに入らねばならないと書いてあったと記憶している。だとすると、ナイトサファリなどはできないのだ。
 ソパロッジはやはりキノコ型の屋根を持った2階建ての棟が建ち並んでいた。
 バ-から望む景色や、部屋のテラスからクレ-タ-を望む景色は雄大で素晴らしかった。部屋は不思議で、入り口に大きなスペ-スがあってがらんとした感じだ。そこにクロゼットが置かれてある部屋、何もなく玄関役しかしていない部屋などばらばらだった。コ-トや洋服は一体どこに掛けるのだろう。洗面所は広く、仕切のある大きなシャワールームが付いていて、換気も行き届いていた。
 ベッドル-ムはツインでダブル幅のベッドが置かれてあり、ゆったりとしていた。ベッドの足下には、小間物を置ける、三日月型の台が、ベッドと同じ高さで置かれてあった。
 今年の8月は殊の外、夜寒かったが、夜になると毛布の下に、湯たんぽを入れて保温してくれていたことは優しさと温もりを感じて、嬉しいことであった。

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ロッジの正面 ・ンゴロンゴロ

 


ンゴロンゴロ自然保護区

 タンザニア政府観光局のパンフレットを見ると、国立公園は、キリマンジャロ、タランギレ、セレンゲティとマハレ山脈の四つしか載っていない。
 ンゴロンゴロは自然保護区で国立公園とは区別されているのだ。「もともとセレンゲティと一緒だったものが、ドイツの植民地時代、ンゴロンゴロに砦を造り、狩りをして動物たちを、食料や漢方薬の原料として輸出に励んだので、動物たちの多くが絶滅の危機に瀕したんだ。大戦後、イギリスの信託統治となり、動物の保護と、人間との共生を計って、イギリス人が1959年、セレンゲティと分離して自然保護区にしたんだよ」とドイツ人の住居跡の石垣を指しながらミンディが話してくれた。更に説明は続いた。「この大クレ-タ-は200万年前に火山の大爆発で山が吹き飛び、外輪山だけが残り、深さ600m、広さ800平方キロ、幅20kmのカルデラとして残ったんだよ。それで、1981年ンゴロンゴロを、世界自然遺産に登録出来たと云う訳さ」実際展望台から見た景色は、広大で幾つかの湖が点在し、ヌ-や縞馬の大群が一面に広がっていた。



ライオンのハンティングを見た!

 サファリカ-が3台集まっているところがあった。「ミンディ!あそこに行って見ようよ、きっと何かいるよ」「僕もそう思っているところだ」ミンディがスピ-ドをあげて近づくと、雌ライオンが1頭道端を中腰で歩いていた。今度のドライバ-はミンディとサミュエルだ。
 廻りには縞馬の群れとヌ-の群れが草を食べていた。のどかな風景である。ライオンは道にはみ出そうになりながら草を食べている1頭の縞馬を狙っているらしい。「ミンディ、ライオンはあの縞馬を狙っているの?」「さあ!これから待ちに待っていたライオンのハンテンィグが見られるよ!」やや興奮しながらミンディは言葉を続けた「ライオンはお腹が一杯だと3日も4日も獲物を捕らないんだよ。だからハンティングを短い滞在で見ることが出来るなんて、こんなラッキ-なことは無いんだぜ。僕だって久し振りだよ」ライオンは私たちの車の横を忍び足で前進して、5mほど縞馬に近寄った。そしてもう一台のサファリカ-を隠れ簑にして身を潜めている。3~4分経っただろうか動き出した。今度は匍匐するような姿勢でにじり歩きを始めた。頭を下げ、尾を立てて振った、と思ったら脱兎の如く縞馬に走り寄った。
 縞馬は必死に逃げたがたちまち追いつかれて、尻の上に覆い被されてしまった。縞馬は腰を折り、はずみでライオンが振り落とされた様に見えた。縞馬は、それチャンスとばかり逃げにかかったが、再びライオンに掴まり、首筋に歯をたてられた。足をばたばたさせていたが、やがて静かになってしまった。

ライオンと餌

ライオンと餌

  縞馬・ンゴロンゴロ

縞馬・ンゴロンゴロ



助けたくても助けられないよ

 母親か兄弟らしい縞馬と他、数頭の縞馬で助けようとしているのか、6~7mに近づいては後退りし、近づいては退いていた。やがて悲しそうに、いななきながら遠巻きにしている多くの仲間の中に消えてしまった。
 「もう1頭のライオンが来る!」誰かが小声で言った。なるほどもう1頭のライオンが倒した獲物の傍にいるライオンに小走りで近づいて来た。さっき尾を上げて振ったのが合図だったのだろうか? 後から来たライオンは近寄って行き、獲物を倒して先に食べているライオンを座って見つめていた。一呼吸おいて2頭のライオンが一緒に獲物を食べ始めた。その度に縞馬の後ろ足が空を切っていた。
 仲間の縞馬たちと母親は、あきらめきれないような悲しい鳴き声をあげていた。反対側にいたヌ-と縞馬の大きな群れは、その鳴き声を聞いて一斉に走り去っていった。
 「本当にラッキ-だよ皆さんは!」ミンディが興奮覚めやらぬ表情で言い続けていた。「可哀想!おかあさん縞馬がかわいそう...」女性達は涙ぐんでいた。

オスのライオン

オスのライオン

 


マニャラ湖の木登りライオン?

 ンゴロンゴロの帰りに立ち寄ったマニャラ湖国立公園は、ンゴロンゴロの外輪山(リフトバレ-)の森で集めた雨が地にしみ込んで水脈を形成して幾つもの小さな清らかな湧き水が湧き出していた。その水が集まって枯れることのない清流となり湖に流れ込んでいる。
 マニャラ湖国立公園はンゴロンゴロのクレーターよりも低地にあるので、この豊富な水で森が育ち湿地帯も広がっている。従って象たちは群れをなし、フラミンゴ、ペリカン、カバ、バブ-ン、ベルベットモンキ-などが多く生息している。「ここに住むライオンは、蒸し暑さを嫌って木の俣で涼を取り、皮膚を刺す虫をさけて地上より凌ぎやすく、獲物も見つけやすいという一挙両得で、木に登って生息するようになったんだよ」と我がドライバ-ミンディは、3つの理由を挙げた。木登りライオンはアフリカにライオンを訪ねる人たちには有名で、是非一度見てみたいものだ。
 「ガイドブックには、生息する木登りライオンはもう少なくて見ることは出来ないと書いてあるけれど本当に今では見ることは出来ないの?」と聞くと「そんなことは無いよ!出合うことはあるさ、でもこんな短い観光では無理だよ。あの崖の上にあるロッジに3~4泊でもして、じっくりゲ-ムドライブを楽しまなくては、チャンスは無いよ」と言われてしまった。やっぱり何日もかけなければ、珍しい木登りライオンを見ることは駄目という事か。

マニャラ湖のカバの群とフラミンゴ

マニャラ湖のカバの群 とフラミンゴ

  カバの池

カバの池



サバンナの動物たち

アンテロ-プ(羚羊・カモシカ類)

 インパラはどこでも群れを作っていた。いつもちょっと小高いところに見張りでもしているように立っているトピビ-スト。これと良く似ているけれど茶色で腹が薄白く角が鍵状に上を向いているハーテビースト。お尻が丸い白毛で覆われているウオーターバック、小鹿のような身体に綺麗な黒い横線の入ったスマ-トなトンプソンガゼル。このガゼルより一回り大きくスカイラインのような線が入っていない茶色のグランドガゼル。1頭だけ飛ぶように枯れ草の上を駆け抜けたデックデック等、車の走る道を挟んであちらこちらで見ることができた。


子象のかわいい仕草

 マサイマラでは、象は2~3頭が遠方の塩湖の中に見えていたし、マラ川の畔の茂みに7~8頭の群れと突然遭遇したこともあった。アンボセリでは大群が沼で水浴びをしている姿を楽しめた。マニャラ湖畔の森の中で群れを見つけた時は皆興奮した。茂みから出てきた象たちは私たちの車の直ぐ後ろを通り抜け、砂場に出て、しきりに砂を鼻に含んで身体に振りかけ始めた。子象は痒いお尻を倒木にしきりに擦りつけていた仕草がとても可愛かった。
 「茂みにはたくさん虫がいて、肌を刺されて痒いから茂みから出たら砂をまぶしたり、ああやって倒木に痒いところをこすりつけているのさ」とミンディが説明した。

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砂を浴びる象の群・マニャラ湖

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子象の兄弟


キリン

 キリンは所々に対でいた。マサイキリンで模様がアミメキリンに較べるとはっきりしない、ツタの葉模様だという。
 マサイマラやアンボセリ、ンゴロンゴロでは群れも多く見ることができた。木の葉を食べているところや首を互いに擦り合っている情景などもかわいらしかった。子供のキリンも多くいた、出産が終わって、子育て期に入っているのだ。
 色黒のキリンが1頭いた。「黒く色が変わって見えるのはもう年取ったキリンだよ、群れから離れて只1頭、死を待っているのだよ」ミンディが言った。
 人間と一緒だ、年を取って皺が増えて身体の線が崩れてくると死と対決するようになる。「我々と一緒だね」誰かが呟いた。

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仲良しキリン

 

ジャッカル

 ジャッカルが1頭、私たちの車を出迎えるように、道にたたずんでいるのに出会った。ジャッカルって大きくどう猛かと思っていたが、1m弱くらいの足長で尾が体長の三分の一くらいのスマ-トな身体をしたかわいいものだった。背毛が黒く「背黒ジャッカル」というのだそうだ。「オ-カミやコヨ-テと同じ仲間で、全くどう猛ではなくて小動物や昆虫類を食べているのだ」とジョセフに教えられた。


いずれの処も電話やテレビも無く、自然の中でのんびりと過ごせた。寝床で布団にくるまりながら動物たちの鳴き声を聞き、風のそよぐ音を聞いていると窓から見える星たちにロマンチックな世界に運ばれて本当に心が癒された。

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